日本の高度成長期を象徴する歴史的な三代目

トヨペットにコロナ。今となっては懐かしすぎる名前、というより、もう知らない方も多いのではないでしょうか。トヨペットはまだしも店名として残っているのでご存じの方も多くいらっしゃると思いますが、以前は歴とした小型車用ブランドネームでした。トヨペットコロナが6世代目までの正式名称だったのです。

そして、コロナといえばカローラやクラウンと並ぶトヨタの乗用ビッグCの一角でしたが、01年ついにその名がラインナップから消えてしまいます。跡を継いだプレミオ(当初はコロナプレミオでした)も21年に生産を終えているので、“5ナンバーセダン”というコロナの系譜は今完全に失われてしまいました。現在その代役となっているのが、いずれも3ナンバーサイズなのですが、カローラセダンとプリウスでしょう。

初代コロナは1957年に誕生します。タクシー用の小型セダン需要が高まった時代で、同時に日産(ダットサンセダン)との熾烈な販売競争の幕開けともなりました。59年にダットサンセダンがダットサンブルーバードへと進化すると、トヨタもそれに呼応して二代目コロナを投入。しかしブルーバード優位の環境は覆りませんでした。

ブルーバード対コロナ。開発と販売両面のおける激しい鍔迫り合いはいつしか“BC戦争”と呼ばれるようになります。そしてついにトヨタの面目躍如となる日がやってきます。それが64年に登場した三代目T40コロナでした。海外での性能評価にも耐えうるモダンな乗用車シリーズとして開発されたT40は日本でも瞬く間に人気を得て、ついに翌年65年1月、悲願の販売台数日本一の座をもぎ取ったのです。

コロナ人気は67年から不動のものとなり、さらには海外市場でも好評を持って迎え入れられたため、一時期はトヨタの販売台数の4割をしめることもありました。4ドアセダンのみならず、2ドア、5ドア、2・4ドアバン、ピックアップなど多彩なボディバリエーションも支持の広まった要因だったと思われます。また末期には上級グレードのゴールデンシリーズがコロナ・マークⅡ(T60)に発展しています。なかでも2ドアクーペベースの“トヨタ1600GT”はマニア垂涎のクラシックモデルとして現在も人気のモデルとなりました。

第3世代コロナは結局、70年までの6年間におよそ60万台が生産されました。


西川淳の、この個体ここに注目!

1966年式の4ドアセダンデラックスです。グリルデザインから66年半ばに改良を受けた中期モデルであることがわかります。

車高を落としてあること以外、オリジナルコンディションをよく保った一台で、走行距離も実走行ということです(現オーナー談)。ペイント、内装もオリジナルのまま今日に至ったサバイバー。4ドアながらプリザベーション個体としても貴重な一台だと言えるでしょう。

ピカイチのビカモノではありません。オリジナルの塗装や素材を残すゆえ経年劣化が全体的に見受けられます。ボディパネルのところどころにはいい具合の錆があり、ペイントの剥げやメッキ浮きに曇り、サッシやホイールには傷もありますし、ゴムの劣化もあります。フロントバンバーには板金修理の跡もありました。内装はおおむね良好ですが、ルーフライナーにはシミもありますし、ピラー周りには日焼けも見受けられます。

けれどもそういったことを全て含めて、この個体の佇まいを美しく見せている。爺様の代から大事に扱われてきた、といった印象さえ抱かせます。

日本が元気に満ちていた当時の空気感を味わうことのできる、貴重なサバイバーと言えるでしょう。

車両スペック

年式1966
初年度1966
排気量1,490cc
走行距離64,000km
ミッション3MT
ハンドル
カラー
シャーシーNoRT40 259479
エンジンNo
車検なし
出品地域大阪府
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