全世界55万台というスポーツタイプのモデルとしては空前の大ヒットとなった初代フェアレディZ(S30)。1978年にそんな人気モノの跡を継いだ二代目Z(S130)は果たして初代の豪華な進化版となりました。
ルックス的にはS30の面影をよくとどめつつ、ボディサイズはひと回り大きく成長し、内外装はより豪華になって、パフォーマンスの向上も図られたのです。なかでも2.8リッターエンジン、サッシュレスドア、センターピラー構造、リアセミトレサス、全輪ディスクブレーキといった数々の新採用あたりに開発陣の意気込みを感じることができるでしょう。
輸出車名はダットサン280ZX。78年には米国有名誌が主催する賞レースにおいて「インポート・カー・オブ・イヤー」を獲得するなど、この進化は特にアメリカ市場で歓迎されたようです。そして翌年、日産は賞獲得を記念して北米市場向けの限定車をリリース。そのモデルこそが後世に語り継がれるS130Zの象徴、“マンハッタンカラー”を採用していたのでした。
マンハッタンカラーとはブラックのボディ色をベースにボンネットからドア上部にかけてシルバーに塗り分けるという大胆な2トーンカラーのこと。この限定車特別色は大きな話題となって、のちに日本でも標準モデル(Tバールーフ仕様)のオプションカラーとして採用されるようになったのです。
81年にマイナーチェンジが実施されると、各種装備や仕様はグレードアップされ、見た目にもバンパーやリアライトのデザインが変わるなど、豪華なツアラーという雰囲気を一層極めることになります。
そして82年、フェアレディZの歴史に新たな1ページが加わることになりました。それは念願のターボエンジン搭載です。81年に北米仕様としてデビューした280ZXターボは最高出力180psを発揮。日本のZファンからも導入への期待が寄せられましたが、当時、国産車の高性能化に対する旧運輸省の締め付けは激しく、その認可案件は非常にセンシティブな状況でした。残念ながら2.8リッターターボエンジンの認可は降りず、そこで日産の開発陣は2リッターエンジンにターボを装着することで、今でいうところの“ダウンサイジング”的な理屈を捻り出し運輸省を納得させたのです。
もっともL型2リッターのターボエンジンはセドリック・グロリアに搭載されました。国産車初のターボでしたから日産としてはスポーツカーのフェアレディZに積んで大々的にアピールしたかったに違いありません。けれどもここでも運輸省は世間を刺激しないようにと、まずは高級車であるセド・グロからの搭載を暗に強いたと言われています。
そしてこののち国産スポーツカー界はターボエンジンによるハイパワー競争の時代(といってもしばらく280ps自主規制などというわけのわからないルールがありましたけれど!)へと突入していくのでした。
西川淳の、この個体ここに注目! |
83年式と言いますから、S130最後期モデルです。82年に追加されたフェアレディZターボの2+2(バイツー)、ブラックボディにシルバーボンネット、ではなく、シルバーボディにブラックボンネット、いわゆる“逆マンハッタン”が魅力の個体です。
走行距離は13万キロオーバーとかなり走っていますが、なんと内外装は基本オリジナルコンディションを保つという貴重な状態で、Tバールーフなしのマニュアルギアボックスという選択に最初のオーナーのこだわりを感じます。
現オーナーはSRフェアレディやS30フェアレディZを複数台所有し、サーキット走行も積極的に楽しむというフェアレディ好き。Zに詳しいクルマ屋から前オーナーが39年間乗っていたというこの個体を紹介された時、迷うことなく買う決断をしました。購入後、色褪せが気になっていたボンネットとルーフを補修。ハンドルと運転席を好みのブランドに換えて楽しんでおられます。
距離が距離だけに内装のコンディションはそれなりですが、逆にプリザベーションの趣があって、ピカピカのフルレストア車よりも味わい深い。センターコンソールなど汚れが気になる点も散見されますが、その辺りは継承するオーナー自身が気になるところを直していけばいい。まるでずっと乗ってきたかのように・・・。ちなみにシートは純正に戻して販売、ハンドルの純正品もありますがこちらは元々装着されていたものではなく、現オーナーが後から購入したもののようです。オーディオはありません。
タイヤ交換をして一年。リアゲートのダンパーもリプロ品ですが交換済み。リアゲートの雨漏りはこの頃のZのウィークポイントですが、かなり改善されているとのこと。それでもまだ完治とはいかないようです。リアのカーペットは雨漏りのため剥がされています。
そのほか、現時点で気になるところはサイドブレーキが甘いこととブーストメーターが壊れていることくらい。エアコンも効き、高速燃費は12km/l前後と快調に走っています。
S30では途中からバイツーが追加されました。それゆえ不恰好なのですが、S130は当初よりバイツー前提でデザインされているため、随分と洗練されて見えます。今ならさしずめシューティングブレークだと宣伝できそうです。車体とキャビンの大きさ割合を考えると、2シーターよりもかえってバランスがいい。高級グランドツアラーというS130Zの本質から考えて、バイツーの方がキャラクターとしては似合っているといえるでしょう。
年式 | 1983年 |
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初年度 | 1983年8月 |
排気量 | 1,998cc |
走行距離 | 134,000km |
ミッション | 5MT |
ハンドル | 右 |
カラー | 黒×シルバー |
シャーシーNo | |
エンジンNo | |
車検 | 2025年10月 |
出品地域 | 兵庫県 |
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