半世紀も前のクルマだとは とてもじゃないが思えない……

1959年に登場したコードネームADO15=オースチン・セブン&モーリス・ミニ・マイナー、すなわちミニは、アレックス・イシゴニスによる革新的なFFレイアウトと合理的なキャビンパッケージデザイン(ヴァンタイプやトラックなども存在した)を持つ究極のコンパクトカーとして誕生し、瞬く間に人気モデルとなりました。以来、基本デザインを変えることなく2000年まで生産され、特に日本では熱狂的なファンが多いことでも知られています。

そんな“ミニ”を一躍有名にしたのがクーパーモデルの存在でしょう。イシゴニスの友人であったジョン・クーパーはF1でも活躍するマニュファクチュラー・レーシングチームのオーナーで、ミニの試作車のハンドリング性能に惚れ込み、ツーリングカーレースやラリーに使うことをBMC(ブリティッシュ・モーター・カンパニー)社長に提案したのです。誰しもがそのアイデアを疑いましたが、61年、ついに排気量をノーマルの850ccから1000ccに引き上げたミニ・クーパーがデビューします。次いで63年には1071ccのクーパーSも市場に投入されました。

そして、快挙は成し遂げられたのです。64年からのモンテカルロラリーにおいて、4年連続してミニ・クーパーがトップでゴールした(うち一度は失格)のです。ミニ・クーパーの名前は一躍伝説となり、現代でもミニといえばクーパーと誰もが言ってしまうほどの知名度を得たというわけです。

59年デビューの初代はマークⅠと呼ばれ、67年まで生産されました。窓が狭く、リアランプが小さいのが特徴です。67年にマークⅡへと進化。さらに69年にはアウトヒンジをなくし大型になったドアをもつマークⅢ=ADO20へとモデルチェンジします。その後、76年デビューのマークⅣが2000年まで生産されることになりました。


西川淳の、この個体ここに注目!

車検証上では66年と記載されているものの、それはどうやら間違いで、前オーナーが調べたところ69年6月生産のモーリスミニクーパーマークⅡ(ブリティッシュ・モーター・インダストリー・ヘリテージ・トラストの認定証あり)だということです。認定証によると、オリジナルの色はアーモンドグリーンにスノーベリーホワイトのルーフ、内装はブラックトリムだったと記載されていました。

けれどもこの個体のミステリーはそれだけに留まりません。現オーナーの手元にやってきたときには、灯火類が沢山装備されロールバーまで入ったバリバリのラリーカースタイルだったというのですから。それも、どうやらオーストリアあたりで製作され、実戦に参加していたようで、何から何までコンペティション仕様だったのです。

現オーナーがそんな状態のまま譲り受け、二年ほどかけてご覧の雰囲気のいいマークⅡのスタンダードクーパー仕様に戻したというわけです。元に戻す、といってもラリーパーツを外すだけじゃ無理でした。グリルやアルミホイール、バンパー、ミラー、ワイパー、マフラー、エンブレム類などは復刻版のパーツを活用しながら、オリジナルの雰囲気を取り戻しています。以前から装備されているものといえば、ヘッドライト(オリジナルかも?)、ガラス、そしてツイン燃料タンクくらいだそう。

四年前に全塗装を終え、天井や内装、フロアも張り替えています。アシもハイドロを外してラバーコーンへと交換済み。

レストア完成時にオドメーターは8.5万キロを差していました(実走行かどうかは不明です)。現在9.2万キロですから、現オーナーは四年間でわずかに7000キロほど走ったのみ。とはいえ、博多のミニ専門店で整備されているだけあってエンジンは快調にまわっていましたし、1000ccとは思えない活発な走りを同乗で体験することもできました。今でもリッター17キロは走るという経済性も魅力といえるでしょう。

車両スペック

年式1969
初年度20009
排気量997cc
走行距離
ミッション4MT
ハンドル
カラー水色
シャーシーNoK-A2S6/1324759-A
エンジンNo3159
車検2020(R2)10
出品地域福岡県
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