匠の息吹を感じる 極上のグランツーリズモ

コレクタブルスポーツカーの入門車がMGBであるならば、そのスタンダードといえるスポーツカーが、「ジャガーEタイプ」、しかもシリーズ3ではないでしょうか?

Eタイプは1961年にデビューから1975年の生産中止に至るまでにシリーズ1、シリーズ1.5、シリーズ2、シリーズ3と4タイプが存在しました。シリーズ共通の魅力は①ロングノーズ&ショートデッキが生む世界で最も美しいといわれたスタイリング②レーシングカー直系の最新メカニズムと最高速240km/hオーバーの高性能③他のライバルに比べてのコストパフォーマンスの高さ、でした。特にそれ以前のカーヴィーな尻下がりのデザインとは異なる、低く薄い流線形のスタイリングを持つEタイプはその後に登場した世界の多くのスポーツカーに影響を与えました。

もちろん、各シリーズそれぞれに魅力はあります。例えばシリーズ1はシンプルかつ無駄のない美しいスタイリング、シリーズ2の走りと信頼性のバランスのよさがそれです。それでもシリーズ3をスポーツカーのスタンダードとして押すのは、全グレードでATが選べ、パワーステアリングの標準化、さらに新設計シートの採用で乗り心地が改善で、快適性能が大きく進化したことにつきます。クルマを手にしたならば、コレクションとして眺めるだけでなくたまには走らせたいでしょうし、理想を言えば誰もが我慢をせずに気軽に楽しみたいと思っているはずです。その希望に応えられるEタイプは日常使いが可能な実用性を持つシリーズ3のみで、シリーズ2以前のモデルはやや上級者向けと言えるでしょう。

シリーズ3のもう一つの大きな魅力はやはりジャガー謹製の5.3ℓV12OHCエンジンです。レーシングカーXJ13の 直系ユニットであり、直6エンジンとは比べ物にならないドライバーのアクセル一つで優雅にも豪快にも乗ることができる余裕。そして、世界的にも数少ない量産V12エンジン搭載車を所有する満足度と優越感。これはシリーズ2以前では得られないステータスであり、コレクタブルカーを手にするならこうした点も外せないポイントだと思います。「眺めてよし、走ってよし、パワフルで乗り味もよし」。ジャガーEタイプシリーズ3はこれから車趣味を始めるならば、手に入れて間違いのない1台といえるでしょう。


山崎真一の、この個体ここに注目!

最初にお断りしておきますが、この個体は新車から過保護に保管されてきたビンテージカーではありません。見た目はオリジナルの趣をキープしていますが、関西のレストア業界における2人の匠の手でリフレッシュ&カスタマイズが施され、コレクタブルカーとしての本質は失わず、さりげないが一味違う大人のEタイプに仕上がっています。

1973年式のボディを担当したのは関西屈指のレストアラーとして名高いジェイワン・ナカヤマの中山儀光氏。施工されてから10年ほどが経過しているそうですが、輝きはその年月を感じさせません。ボディカラーは一見すると普通のシルバーに見えますが、フレークの荒いメタリックを調合することで、ハイコントラストできらびやかな風合いを表現。シンプルかつ流麗なEタイプの造形美をより一層引き立たせるようにカラーは何度も吟味されたそうです。細部まで確認しましたが、外装は飛び石による傷がフロントに数個ある程度のミントコンデションといえるでしょう。

インテリアもダッシュボードのプラスチック、スイッチ類、メーター類も色艶もよく、使用感はほとんどありません。細かい擦り傷、ほつれなどは数か所見られますが、シートも張りがあり、ヘタり、くすみなどもほぼなくグッドコンディション。エンブレム一つをとっても隅々までしっかり仕上げられていました。ステアリングはウッドのナルディが装着されています。ジェイワン・ナカヤマでレストアを施した証明プレートが助手席側バルクヘッドに取り付けられていました。

エンジンは日本のジャガーメカニックの草分け的な存在であり、ジャガー・ジャパン屈指の名工とよばれた1人であるK氏がオーバーホールを担当。V12エンジンはクランキング時から重さがなく、ブリッピングするとまるで小排気量の直6のように軽やかに回り、アクセルペダルに軽く足を置くだけで、反応するエンジン内部のフリクションが少ないことが伝わってきます。エンジンルーム内も配線1本まで美しくレイアウトされており、組み込み精度だけでなく、スキのない仕上がりは職人の思いが詰まっていると感じました。

このクルマのもう一つのトピックが、コレクタブルカーの愛好家で知られる歌手の稲垣潤一氏のドライブで2018年度に岡山県で開催されたクラシックカーラリー「ベッキオ・バンビーノ」に参戦していることです。稲垣ファンにとってはたまらない1台ですが、長距離ラリーをトラブルなしで走り切った機関の仕上がりの良さにも注目いただきたいところです。控えめですがオリジナルティを主張するカラーと極上フィールのエンジンを搭載すると特別なEタイプ。他のオーナーにさりげなく差をつけたい方には最適な選択肢ではないでしょうか。

車両スペック

年式1973
初年度19869
排気量948cc
走行距離22,314km
ミッション3AT
ハンドル
カラーシルバー
シャーシーNoUEIS23985BW
エンジンNo
車検20211
出品地域大阪府
  • レポートは売り主さまへのヒアリングと現車の視認を元に構成されており、必ずしも掲載内容の裏付けが取れている訳ではありません。CARZYは掲載内容の正確性・無謬性を何ら保証しません。
  • 車両の状態を専門的にチェックしているわけではありませんので、何らかの不具合や故障が含まれる場合があります。また取材から日にちが経過することによる状態変化もあり得ます。掲載情報はあくまでも参考情報であることをご理解いただき、購入に際してはご自身の車両状態チェックとご判断を優先ください。
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