トライアンフTR3は、1950年代後半から60年代初めてにかけて、英国コヴェントリーのスタンダード−トライアンフ社によって生産されていた、2シーターのロードスターです。
TRとはトライアンフ・ロードスターの頭文字。TR計画は50年代前半に始まりました。52年にプロトタイプのTR1が発表されるや、市販を期待する声が高まります。そこで、スタンダード社は量産を決意。TR2として53年から生産を始めることになりました。
TR3はTR2の、言ってみればマイナーチェンジ版。より大型のキャブレターを装備することでパワーアップし、ブレーキ系も改良されました。ノーズの先端にグリルを装備したのが特徴で、さらに後期型のTR3Aになるとグリルがいっそうワイドになっています。
TR3にはパワーアップ版のスタンダード社製2リットル直4OHVエンジンを搭載し、4段マニュアルギアボックスが組み合わされました。性能的には当時のトップレベルであり、ふるめかしいMGや高価なジャガーの間を埋めるスポーツカーとして、特にアメリカ市場で人気を博すことになります。寄り目のヘッドライトに、クラシックな抑揚をもつ前後のフェンダーライン、そして何よりも左右ドア上部の大きな切れ込みが特徴的。この切れ込みのおかげで、まるで戦前車のように前輪位置を確認できることから、クラシックカー競技において重宝される存在にもなりました。
TR2およびTR3は、年代がそこそこに古い(50年代)割にはメンテナンスやドライブが比較的容易で、しかも競技向き、価格も安定していることから、初心者からベテランまで広い範囲の支持をうけるクラシックカー界の定番セレクトとなったのです。
その後TRシリーズは、中身はほとんどそのままにミケロットデザインのTR4へと進化。ネオクラシックなデザインからいっきにモダンなオープンスポーツカーへと変身を遂げました。
西川淳の、この個体ここに注目! |
1956年の後半に生産された、前輪がディスクブレーキ仕様になって以降のTR3です。現オーナーは2016年にアメリカから輸入(左ハンドル)し、長距離クラシックカーラリーに参戦しています。トランスミッションがトヨタ製に換装されていますが、ラリーなどに参戦して積極的に乗っていきたいという方には、耐久性あって修理もしやすいトヨタ製への換装は、かえって好都合というべきでしょう。
ミッション換装も含めてアメリカにて大掛かりなレストレーションの施された個体ですが、残念ながらレストアに関する詳しい資料は引き継がれていません。オドメーターは8万マイル以上を指していますが、レストア後の走行距離はさほど多くはなさそう。
実物を見たところ、ミッション以外はオリジナルコンディションをよく再現しているように見えますし、スカイブルーとベージュのコントラストも鮮やかなコンフィギュレーションとあいまって、とても存在感のある個体に仕上げっていると思います。もちろん、小キズや塗装はがれ、内装の汚れなどある程度の使用感はありますが、飾っておきたいというニーズでも無い限り、気にならないレベルだと思います。
試乗もしましたが、機関の調子も上々です。これといって今、急いで手を入れる箇所もないようですし、このままクラシックカーラリーに参戦していただくこともできるでしょう。
年式 | 1956年 |
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初年度 | 2016年8月 |
排気量 | 1,991cc |
走行距離 | |
ミッション | 4MT |
ハンドル | 左 |
カラー | ブルー |
シャーシーNo | TS13349L |
エンジンNo | |
車検 | 2019年8月 |
出品地域 | 京都府 |
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