1970年代のなかばにV8エンジンをミッドに積んだ“ピッコロ”(=小さな)フェラーリが登場して以来、現在に至るまでそれは跳ね馬の主力モデルであり続けています。もっともいつの間にか、“ピッコロ”ではなくなってしまいましたが。
50年代半ばから60年代初頭にかけて、初代というべき300SLガルウィングと、その後継モデルである300SLロードスター、さらには廉価版の190SLが生産されていましたが、アメリカのスポーツカー市場が勃興するに伴って、その中間を埋めるようなスポーツモデルを望む声が高まった結果、1963年にW113の型式名を持つ新世代のスポーツモデルが230SLとしてデビューを果たします。
15年に登場したのが488GTBで、位置づけとしては先代458イタリアの、いわゆる“ビッグマイナーチェンジ”版(マラネッロはフルモデルチェンジだと言いますが)。進化のポイントをかいつまんで言うと、ダウンサイジング・ターボエンジンの採用に、エアロダイナミクスの改善で大幅な性能向上をみたこと、となるでしょう。
GTBという名付け方そのものは、初代V8ミッドスポーツカーとなる308GTBシリーズへのオマージュです。この時代、すでにイタリア国内向けの“ダウンサイジング・ターボ”グレード(環境ではなく税金対策でしたが)があったことも関係しているのでしょう。
ちなみに、488という命名法はさらに昔の伝統に遡って一気筒当たりの排気量を表しています。488×8=約3900cc、というわけで、458=4.5リッターV8自然吸気エンジンに比べると排気量を600ccも減らしています。もっとも、感覚的には4.8リッターV8自然吸気と同等の性能だと思っていいでしょう。
15年夏には488のスパイダー版を発表しました。458で既にお馴染みのリトラクタブルハードトップを採用。開閉時間はわずかに14秒です。クーペを出して半年後にスパイダーを追加するのは最近のマラネッロ恒例行事でもあります。
フェラーリはV8モデルを二世代毎に本当の意味でのフルモデルチェンジを実施します。振り返ってみれば、308と328、348と355、360と430、そして458と488(とF8トリビュート)、がそれぞれセットになっている。この二世代の間で見た目には劇的に変わっていません。けれどもパワートレインを大きく変更しています。
488シリーズでも、先に登場したカリフォルニアT用ターボエンジンと同系統のプロジェクトから生まれた直噴3.9リッターV8ツインターボを積みました。注目すべきはCO2排出量を減らせたことではありません。458用4.5リッターNAに比べて+100psと+220Nmという大幅な性能向上を達成したという点にこそあります。
488スパイダーの乾燥車両重量は458スパイダーより10キロ軽く、クーペの488GTBより50キロ重いだけ。パワーウェイトレシオは2.12というから驚異的。さらに驚くべきは0→100km/h加速で、なんとクーペと同じジャスト3秒。最高速度は325km/hと発表されています。
西川淳の、この個体ここに注目! |
ブルーメタリックのエクステリアに全てが真っ赤というレザーインテリアが飛び切り映える一台です。イエローのステッチもこのカラーコーディネーションには合っています。レーシングカーにもよくある組み合わせですね。
走行6400キロ弱ということもあって、ほとんど新車というコンディション。ナラシがそろそろ終わって、これから美味しいタイミングになるといった感じでしょうか。ノーズまわりにチッピングが少し見受けられる程度で、他に気になるところは皆無です。
それにしても、何から何までオールレッドのインテリアも実はありそうでありません。カーボンインテリアも効果的にあしらわれており、スパイダーらしく見応えのあるインテリアに仕立てられています。
エクステリアにおいて、カーボンパーツの使用を控えめにしている点も、逆に好感がもてます。リアライトまわりとウィンドウピラー程度で、抑制が効いている。大人のカーボン使い、とでも言いましょうか。
現オーナーは2018年10月に正規ディーラーのショールームでヒトメボレ。衝動買いされたそう。その後さほど距離は伸びていませんが、とても乗りやすくて速いクルマですから、今後、少しずつ距離が伸びてしまうことを予めご理解ください。
年式 | 2017年 |
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初年度 | 2017年3月 |
排気量 | 3,902cc |
走行距離 | 6,400km |
ミッション | 7DCT |
ハンドル | 左 |
カラー | 青 |
シャーシーNo | ZFF80AMJ000223775 |
エンジンNo | |
車検 | 2020年(R2)3月 |
出品地域 | 北海道 |
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