ポルシェといえば911。それは今も昔も変わりません。けれども、ポルシェの入門用本格スポーツカーとして、現在なら718シリーズがあるように、その昔も憧れのバッヂを輝かせた、比較的リーズナブルなスポーツカーがありました。911に4気筒エンジンを載せた912、ミドシップの914シリーズ、そして924に始まるFRシリーズがそれです。
今回、紹介する968クラブスポーツの、始祖に当たるのが924です。914と同様に、924もまたVWアウディとの共同プロジェクトでしたが、途中でVWが抜けたため、ポルシェが単独で引き継ぎ、パワートレーンの供給を受けながらアウディの工場で生産するという、歴史的に見ても面白い、それはプロジェクトだったのです。
果たして、924シリーズは、アンダーパワーながらもグッドバランスなスポーツカーとして一定の評価を得ます(914シリーズとよく似ていますね)。911のみをポルシェと認めるツウからは、ときに蔑まれたりしたものですが、その実、ポルシェは真面目にFRのスポーツカーとして設計していました(ミッションをリアアクスルに置くトランスアクスル方式の採用などはその好例でしょう) 。924は、つまり、地力のあるスポーツカーだったのです。
75年に924シリーズが登場したのち、83年にはポルシェエンジンを積む944シリーズを追加(924と併売)、さらに91年には968シリーズへと最終進化を果たします。
93年に、快適装備を省くことで軽量化を試み、レカロのフルバケットシートやLSDを標準で装備したCS(クラブスポーツ)を発表。ベースモデルよりも価格が安いスパルタン仕様というコンセプトが大いにウケました。そもそもハンドリングのいいFRシリーズでしたから、最終進化系である968のスポーツ仕様は、多くのマニアから絶賛されます。
日本仕様は、さすがにヨーロッパ仕様ほど割り切ることができず、エアコンとパワーウィンドウは残されていました。17インチカップホイールとバケットシートシェルがボディ同色に塗られており、CSの走りのイメージを強烈に印象づけたものでした。
西川淳の、この個体ここに注目! |
クラブスポーツという性格上、中古マーケットに出回る968CSは、走り込んで距離が伸びた個体が多い、というのが常です。距離が少なくても、激しく扱った形跡の見受けられる個体も少なくない。そんななか、このグランプリホワイトの個体には驚かされました。
見た目のキレイさはもちろんのこと、ウィンドウまわりのゴム類や、灯火類のコンディションが抜群に良い。ワックスで磨いた形跡すらない。4.23万キロというのが信じられないくらいの仕上がりをみせています。キズといっても、ボンネットに5ミリほどのタッチペン跡と、右ヘッドライト脇に小さなピンホールがあるのみ。ホイールは全塗装されており、4輪ともパーフェクトな見映えです。総じて“1万キロ”といわれてもおかしくないコンディションですから、逆にいうと、メーターの信用性も高いというわけ。もちろん、正規ディーラー(ミツワ)物です。
現オーナーの手元に来る前に仕上がっていた個体ではありますが、つい最近、タイミングベルトとバランサーベルトを交換されたそう。取材時にはパワーステアリングからわずかなオイル漏れがありましたが、これもパーツが入庫次第、交換する予定とのこと。また、バイザッハの車高調アシが入っていますが、ノーマルも保管されていました。ちょっと車高が落ちているほうがカップホイールには似合うので、ボクならこのまま乗りますねぇ。ちなみに、エンジンは一発始動。アイドリングもすこぶる安定していたので、おそらく買ってから手間要らずのはず。もっとも、距離を伸ばすのが惜しいほどのコンディションではありますが。
968CSといえば、個人的にも思い入れのあるクルマです。自動車専門誌の編集部にいた頃、取材でミツワから968CSを借りて撮影のためハコネに出かけたときのこと。ターンパイクを走って、初めて楽しいと思えた。こんなクルマなら、一生乗っていて飽きないな、と感じたことを今でも覚えています。確か、あまりに楽し過ぎて、リアをちょっとヒットしてしまったような、、、甘くて苦い思い出です。
年式 | 1993年 |
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初年度 | |
排気量 | 2,990cc |
走行距離 | 42,300km |
ミッション | 6MT |
ハンドル | 左 |
カラー | ホワイト |
シャーシーNo | WP0ZZZ96ZPS815691 |
エンジンNo | |
車検 | |
出品地域 | 群馬県 |
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