レースシーンで勝つために生まれたと言っても過言ではないイタリアの2大ブランド「フェラーリ」と「アバルト」。同じフィアット・グループ傘下で融合することにより実現した夢のコラボモデル、それがフィアットアバルト695トリブート・フェラーリです。
いずれも第二次大戦終戦後にメーカーとして立ち上がったフェラーリとアバルト。フェラーリは1945年の設立、アバルトは1949年の設立で、それぞれレーシングカーやGTモデルで世界に名を馳せました。フェラーリは大排気量、アバルトは小排気量のチューニングを得意としましたが、アバルトはしばしば格上クラスを凌駕する実力を見せつけることで、「ピッコロモンスター」という異名も与えられました。
時代の流れの中で経営安定化を図るべく、フェラーリは1969年に、アバルトは1971年に、フィアットグループ傘下に入ります。共にモータースポーツシーンで活躍しながら市販車でもコアなファン層を築いていきますが、アバルトは1981年から2007年までフィアットのモータースポーツ部門として、WRCやWECなどで結果を残し、その存在感を不動のものとしてきました。そして2007年に晴れてアバルトブランド復活を発表したのを機に、同じフィアットグループ内で進化を遂げてきたフェラーリの名を冠したコラボレーションモデルが誕生。大きな話題を呼びました。
2009年のフランクフルトショーで世界限定1696台の生産が発表された695トリブート・フェラーリは、アバルト500をベースに専用パーツやチューニングメニューで武装され、エクステリアには同年代のフェラーリを代表する「430スクーデリア」をモチーフとしたストライプやカーボンパーツ、同デザインのアルミホイールやボディ色を用意。さらに、ダブルネームの専用ロゴ入り革製車検証入れとトラベルバッグは、1865年にイタリア・ナポリで創業した老舗鞄ブランド「トラモンターノ」製というこだわりようで、スペシャルアイテム満載の695トリブート・フェラーリは瞬く間に完売となったのでした。
桑野将二郎の、この個体ここに注目! |
まだしっかり色味の残ったロッソ・コルサに、デカールを貼り直してクッキリとストライプが映える小さなボディ。新車からワンオーナーで10年を経過した個体は、適度に乗り込まれた雰囲気が安心感と好印象を与えてくれました。
現オーナーは元々、フェラーリ430スクーデリアを所有されており、後にこのアバルト695トリブート・フェラーリの発表を聞いてオーダーを入れたとのこと。2009年に納車されてから乗り込む毎に運転のしやすさとドライビングの楽しさにハマってしまい、デイリーユースしながら随分カスタマイズを施されたそうです。
エクステリアとインテリアにはカーボンパーツとレザーアイテムが多数追加され、よりスペシャル感が増しています(詳細は写真キャプションで説明しています)。10年間の所有で走行距離5万km台ですから、経年劣化はごく自然なレベルだと思われます。
この個体で特筆すべきは、剛性パーツをふんだんに盛り込んだボディのしっかり感と、ツボをふまえたチューニングカスタムによるドライビングプレジャーにあります。Orque technique ideale(オレカ・テクニック・イデアル)製のパーツを中心に、足回りからブレーキまでグレードアップされ、QUAIFE製LSDを組み込まれたことでコーナリングの無敵感が大幅に向上していました。
エンジンはCPUチューンやFORGEインタークーラーキット、BMCエアクリーナーなどでトルク感とアクセルの付きが良くなっているため、ついつい踏み込んでしまいそうになります。けっして過激なものではなく、運転する人の意思に忠実に従うレスポンスの良さが、この個体のまとまり感を物語っていると感じました。
アバルト100周年を迎える2019年、現オーナーもご自身の年齢や身の回りの環境を見直すために売却を考えられたそうです。実はこの695トリブート・フェラーリに乗ったことでアバルトの魅力にハマり、CARZYで販売されている黄色いフィアットアバルト750GTザガートも2011年に購入されました。今回は2台のアバルトを一度に手放し、新しい1台を考えておられるそうなので、ある程度の価格交渉には応じてくださるとのこと。興味のある方は是非人生に一度、サソリの毒にヤラれてみてはいかがでしょうか?
年式 | 2009年 |
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初年度 | 2011年8月 |
排気量 | 1,368cc |
走行距離 | 52,000km |
ミッション | 5MTA |
ハンドル | 左 |
カラー | ロッソ・コルサ |
シャーシーNo | ZFA31200000648398 |
エンジンNo | |
車検 | 2020年8月 |
出品地域 | 和歌山県 |
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