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KNIGHT RIDER TV SHOW × KNIGHT2000(K.I.T.T.)

ナイトライダー × ナイト2000キット
words / Jun Nishikawa

ハイ、マイケル!を日本語で…。

映画ではなく、テレビシリーズに登場したクルマという分野もなかなか捨て難い。日本だとウルトラマンなど昔のヒーローものには必ずといっていいほど“正義のクルマ”が登場していたし、アニメでもそうだった。タイガーマスクの伊達直人が孤児院を訪ねるとき乗りつけたのはランボルギーニ・エスパーダ(ホントはジャガー・ピラーナみたいだけど、まあ同じようなもん。なぜならデザインの大元=マルチェロ・ガンディーニ、が同じで、実際に生産されたのはエスパーダのみ)は、未だに心に焼き付いている。
リアリティのある番組では、一連の西部警察がボクらの世代では圧倒的にナンバー1。実際、ボクはあのシリーズに相当感化されてスカイラインファンになった。西部警察に登場したスカイラインはジャパンと6thだけ。にも拘らず、(それに影響を受けた)ボクは7thから現行世代までずっとスカイラインに乗っていた、というのは、ちょっとしたアイロニーだけれども…。
あぶデカ(あぶない刑事)の2ドアレパードなんてのも、あったなあ。そういや、劇用車でミソをつけたのが西部警察スペシャルに登場したオレンジ色のTVRタスカンだったっけ…。あのクルマをドシロウトの俳優に運転させちゃ、いけないよなぁ。ただ、テレビドラマに皆が憧れるようなスポーツカーを使おうという石原プロモーションの考えには、本当に敬意を表したい。あの事故さえなかったなら、もしくはTVRにESPさえ付いていれば(もしくは付いている他ブランドのクルマを使ってくれていれば)、とクルマ好きをひとりでも増やしておきたい身としては、残念でならなかったりもする。
閑話休題。テレビドラマのクルマでもやはりアメリカ物が、憧れの演出という意味では、一歩上手か。なかでもナイトライダーの印象が断然、強い(個人的にはマイアミバイス×レプリカフェラーリも好きだったなあ)。あの、フラッシャーにはかなり憧れて、当時乗っていたセリカXXに、真剣に付けようかどうか迷った記憶がある。昔は、よく似たフラッシャーキットが売られていた。
第三世代のポンティアックトランザムがナイト2000のベースだ。それゆえ、フロントマスクを改造してナイト風に装うことが流行った。だから、外観だけナイト、というクルマには、それほど新鮮味はないのだけれど、那須PSガレージの展示車両はもちろん外見だけじゃない。インテリアもモノホンクリソツ(古っ!)。操縦桿のようなステアリングホイールから、今見ても未来的なダッシュボード、そして“あの声”まで、見事に再現されている!これはシーズン1仕様らしく、もう一台のシーズン3仕様は取材時、震災による事故で修理中だった。
あの、“フォンフォン”という電子音に、キットの声・・・。目をつむってそれを聞けば、20年以上も前の記憶が蘇り、そっと眼を開いて憧れのナイト2000が目の前に…。そういえば、はじめてカリフォルニアのユニバーサルスタジオに行ったとき、ナイト2000を見つけて、大学生だったにも拘らず、子供たちにまぎれて並び、なかに座ったよな。あれはキットと会話できるという趣向で、当然、英語でしゃべらなきゃいけないんだけれど、こちとら大学生でひねくれているもんだから、“キミは日本のテレビでは日本語をしゃべっているんだけど、日本語で会話しようよ”って英語で言ってやると、たっぷり一分間は沈黙しやがった…なんてことを思い出したり、ああ、いいもんだ。
記憶は記憶として、今も生き続けている。その色合いや、匂いや音や心の動きの輪郭を、もう一度鮮やかにする行為って、人はそれをノスタルジーと呼ぶのだけれど、本当に楽しいものだ。聞けば、ここのナイト2000は、メカも本物に負けない位、とまではいかないものの、相当頑張って作りこんであるらしい。
いつか今度はナイト2000に乗って、キットと日本語で話をしてみたいな…。
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。