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CARZY MAG
CZMG06

The Fast and the Furious TOKYO DRIFT × Veilside RX-7

ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT × ヴェイルサイドRX-7
words / Jun Nishikawa

スーパーカーになった和製スポーツカー

カーチェイス。アクション映画の“華”のひとつだ。007シリーズのように、超豪華な“脇役”として華を添えることもあるし、カーアクションそのものがストーリーの軸となる場合もある。ワイルドスピードシリーズは、後者そのもので、しかも、史上空前のワールドワイドヒットとなった。
那須PSガレージに所蔵されている、この何やら得体の知れないスポーツカーは、シリーズ第三作の“トーキョードリフト”、ストーリー的には第五作“メガマックス”の次にあたる、に登場した劇中車そのものだ。
このクルマを劇中にて駆っていたのは、韓国系アメリカ人のサン・カン演じるハンで、彼は第四作(マックス)、五作(メガマックス)にも登場。メガマックスでは、“東京に行くかも…”と漏らしている。その結末は…。ぜひ、メガマックスを劇場で見てから、トーキョードリフトを見て欲しい。特にトーキョードリフトにはまるでカーセンサーのように多くの“有名”な日本車が登場する(ストーリー的に東京が舞台だから当然だけど、カーアクションのほとんどが実はアメリカだったことを考えると…)ので、国産車ファンにはたまらない。最新作メガマックスではハコスカまで登場するなど、もともと、日本車の出番が多い映画ではあるが…。
とまあ、映画の宣伝はこれくらいにして、話をPSガレージの所蔵車両に戻そう。ベースはロータリースポーツ、マツダRX-7(FD)である。もう街中ではだんだんと見かけなくなってきた(そりゃそうそうだ。91年に発売され、最も新しい個体でも02年産なのだから…)が、個人的には、ホンダNSX と並び立てておきたいほどオリジナリティに溢れた日本の名スポーツカーだと思っている。コンパクトで強力なロータリーターボをフロントミッドに押し込み、日本車離れした有機的でダイナミックな肢体をもつ、90年代を代表する国産リアルスポーツ。あの頃は、バブルの恩恵(いろんな意味で)とはいえ、いい時代だったよなあ。
劇中車は複数台製作されたようだ(その理由は映画を見れば分かる!)。ほとんどFD3S・RX-7の原型を留めないこのスタイリングは、ご存知Veilside(ヴェイルサイド)の手になるもの。黄と黒のコントラスト2トーンがまた、RX-7をしてロシアあたりのまだ見ぬスーパーカー然とさせている。このスタイリングで、400〜500馬力くらいあって、イマドキの電子制御が装備されていたら、売れると思うが、どうか。。。
それはさておき、PSガレージの車両には、リアピラーにジャスティン・リン監督のサインが入っており、すべて劇中車そのものの仕様で保存されている。しかも!メカまわりを改めて全てレストアしたのみならず、エンジンを降ろして以前よりも強力にシューンした、というのだから恐れ入る。さらにさらに、メカ仕上げを担当したのは、RE雨宮のスーパーGTマシンを担当しているファクトリーだった。
運が良ければ、エンジンルームを見ることもできるだろう。その中身は、“本物のチューニングカー”、だ。もちろん、公認車両で、一般走行も可能である。このミュージアムが単なる“キワ物陳列棚”でないことが、このクルマからも判るというものだ。
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。