後方視界は、当然ながらゼロ。でかいぶん、マイナスだと思って良い。操縦桿のようなステアリングホイールが付いているが、F1かクンタッチ用のようなリアタイヤを前に2輪付けているので、ほとんど曲がろうとはしない。要するに、ある程度、先の様子をシミュレーションしてから、走り出さねばならない、ということ。おまけに、「ブレーキはねえ、ほとんど利かないから注意して…」という松ちゃんの叫びが、かすかに聞こえた。あの〜、帰りたいんですけれど…。
と言っても、一人で乗り降りもできないクルマである。エンジンも既に掛かってしまっている。それなりに見物している人もいるわけで、ここですごすごと降りてしまっては、何とも格好が付かない。クルマに乗ってナンボの仕事をする身としては、格好がつかないどころか、職場放棄、敵前逃亡、不戦敗の汚名をかぶりかねない。
意を決して、シーケンシャルミッションをガツンと一速に入れ、走り出した…、と思ったら、怖くなって停めた。これをあんな速度で走らせるバットマンは、ぜったい気が狂ってるぅ〜〜〜。
死にそうなくらい暑い、を理由に、十メートルの試乗で、とりあえずの面目だけ保ってみた。
それにしても、よくもまあこれだけのものを、精密に造りあげたものだ。レプリカ+αの張りボテだなんて、とんでもない。松ちゃん、こりゃすごいよ!と滝のような汗もそのままに言ってみれば、「淳ちゃん、このプロジェクト、2006年からやっていて、サイトでも報告してたんだよ」、だって。がはは。すみません、ホント、ネットって見ないんだね、オレ。。。
というわけで、このタンブラー、足掛け4年越しのプロジェクトで、どうやら作ったオーストラリアの二人組は、まったく図面もなしでゼロからこれを造りあげたらしい。フレームをゼロから起こして、サスペンションを付けて、V8エンジン+ミッション載っけて、でっかいタイヤを付けて、ちゃんとメタルの外装パネルを組み付けて…。ラジコンだってゼロから作るの、めちゃくちゃ大変だっていうのに、(曲がりなりにも)ちゃんと人が運転できて、可能な限り法規対応までしているだなんて…。その二人、グラントとゴードン、って、ひょっとして立体化の天才??