シェルビームスタングとは、永遠のアイドル・ポニーカー、シボレームスタングをベースに、キャロルシェルビーがフォードからの求めに応じてレースベース車両として開発したのが始まり。その後、現代でいえばメルセデスのAMG のような位置づけで、マスタングの高性能バージョンとして人気を博し、現在ではアメリカを中心にコレクターズアイテムとして尊重される存在だ。
なかでも劇中エレノアのベースとされたGT500は67年以降に造られた最強のムスタングである。排気量はなんと7リッターにも及ぶ。
那須PS ガレージに収められている“エレノア”は、68年式のオリジナルボディ&シャシーをベースに、金に糸目を付けずレストアし、劇中車そっくりに仕立てたもの、数々のコンテストで入賞経験もあり、いわゆるエレノアレプリカのなかでも極上の仕上がりをもつ一台だ。ちなみに、劇中車のエレノアもGT500ベースではなく、67 〜68 年式のファストバックを専門業者のCVS が改造したものである。デザインはかのチップ・フース。つまり、エレノアというクルマは実在しない。
エンジンは、フォード351 スポーツマン・レーシングブロックを427C.I.、すなわち7 リッターにスープアップしている。これにトレメックTKO-600 5速ミッションを組み合わせた。そのほか、アシ回りやNOS システムなど、見るからに気合の入った“レベルアップ”が施されている。
まるで新車同然のインテリアに感心しつつ、おもむろにキーを捻ってみると…。ちょっとした地響きをともなって、キャビンを揺さぶるかのように、V8エンジンが目覚めた。いきなり暴力的である。