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潜入取材、パガーニ工房
CARZY MAG
CZMG24

La PAGANI - Nell' ATELIER

潜入取材、パガーニ工房
words / Jun Nishikawa

潜入取材、パガーニ工房

まずはアトリエと称されるウアイラやゾンダRの組み立てエリアに入ってみた。ウアイラを三、四台もおけばいっぱいになる程度の広さ。ここにはパワートレイン、シャシー、各種コンポーネントから、シートやダッシュボード、インテリアパーツまで、すべての構成物が集められており、一台一台、丹念に、時間をかけて組みあげられていく。もちろん、だからこそ顧客からの細かなスペシャルオーダーにも応えることができるのだろう。
隣の小さな部屋では、プリプレグのカーボンシートを型に沿って貼る作業が行われていた。これはおもに、手先の器用な女性の仕事だ。
パガーニ アトリエ
パガーニ
目を見張ったのは、シャシーやボディを仮置きするパイプ治具類の美しさと、宝石箱のように陳列された組み立て前パーツ類だ。これはもう、自動車工場の域を超えていると思う。クルマはもちろんのこと、治具や部品棚に目を奪われるだなんて・・・。そこには、ディテールにアートを求めてやまない、パガーニの姿勢が透けてみえた。やるなら徹底的に、というわけだ。
さらに奥にも、もう少し広いスペースがあった。ここで目につくのは、大小二機の、赤いオートクレーブだ。これは、カーボンファイバー強化樹脂(CFRP)を製造する釜で、特に高性能かつ表面仕上げのいいCFRPを作るためには必須の道具である。カーボンファイバーは、パガーニのエンジニアリングを根本から支える、言わば“命脈”でもあった。
釜のまわりでは、できあがった(決して焼いているわけじゃない)CFRPパーツの数々に職人たちが最終仕上げを施している。もちろん、すべて手作業だ。そして、その前には、一台のウアイラ。完成も間近になって、さっきの部屋から“逆戻り”してきた個体である。ここでの組付けチェックが終わると、晴れて、公道での試験走行のため、陽の光の元へと出されることになる。
さらにその奥の小部屋が面白かった。真っ赤な前後サブフレームがあり、「スペシャルオーダー品か?!」と思いきや、これが仮組用のフレームで、仕上がったカーボンパーツの精度を一度ここで確認し、それから組み立て、塗装行程に進むのだという。いってみれば、この赤いフレームが、ウアイラの骨格を決める“メートル原器”なのだった。
クラシックな美意識 ミッションベース
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。