新しい種類の快感を味わえる ハイブリッド+ミドシップ

21世紀に突入してからかなり時間も経ってだいぶ“電気慣れ”もして、ハイブリッドカーも珍しい存在ではなくなりました。けれどハイブリッドのスポーツカーをドライブしたことのある方は、まだそう多くはないようです。理由は明快。それほど多くの車種が世に出ているわけじゃないからです。

様々なメーカーの計画によればこれから続々と登場してくることになりそうですが、その魅力をいち早く解りやすいカタチで世の中に提示してくれたのは、2013年に市販モデルが発表されたBMW i8でしょう。

8シリーズやZ8など、BMWにとって“8”という数字はラインナップの中の究極的なスポーツ・モデルに与えられてきたものといえそうです。このi8も同じ。プラグイン・ハイブリッド・スポーツカーとしてのひとつの究極の姿を目指して開発されたものでした。スーパーカーに近いパフォーマンスを持ちながら、コンパクトカー並の燃費性能と環境性能をも実現させたのです。

構造も意欲的。車体の基礎は軽量&高剛性のアルミ合金製バックボーン・フレームで、それはリチウムイオン・バッテリーのケースも兼ねています。フロントにモーターを、リア・ミドシップ・レイアウトで内燃機関のエンジンをマウント。サスペンション類も、もちろんこのフレームに取り付けられます。そしてその上にバタフライ式のドアを含むフル・カーボン製のキャビンを載せる、というのが基本構造。重いものは全て下側に、軽いものは上に、という考え方です。

フロントに搭載されるモーターは、131ps/250Nm。背後のガソリン・エンジンは1.5リッター直列3気筒ツインパワー・ターボで、231ps/320Nm。システムでのトータル出力は362ps、トルクは58.1kgm。そう聞くと大したことないように感じられるかも知れませんが、0-100km/h加速タイムが4.4秒と991型911カレラより0.2秒速いことを知ると、少し見方が変わるでしょう。最高速度は他のハイパフォーマンスBMWと同じく、250km/hでリミッターが入ります。

ちなみに初期のモデルでも最大35kmまで電気+モーターのみでの走行が可能ですし、電気+モーターでは最高120km/hまでの速度が可能です。今もまだ未来的に感じられるフォルムの中には2+2のシートが用意され、154リッターのトランクも備わります。この実用性の高さはエンジンが小さいからこそ可能になったものですね。付け加えるなら、満充電による欧州複合モード燃費は走行距離は40km/L、JC08モード燃費で19.4km/L。そんなスーパー・スポーツカー、目下のところ他にはありません。

ミドシップ・レイアウトのスポーツカーに電気モーターとガソリン・エンジンで4輪を駆動するこのシステムの組み合わせは、かなり相性がいいようです。モーターの間髪入れずに最大トルクを発揮する瞬発力と力強さ、内燃機関のエンジンならではのパワーの伸び。似たシルエットのスーパーカー達ほど獰猛ではありませんが、持て余し過ぎずに何とかちゃんとつきあえる領域の、爽快なパフォーマンス。

車両重量が1500kgと重いバッテリーを積んでいるわりには軽量で、しかも重量物を下側に集中させた超低重心設計をベースに運動性能が磨き上げられたため、旋回能力はめちゃめちゃ高く、コーナリングスピードも相当に高いです。が、前後輪の駆動力のバランス取りが絶妙だから、まずアンダーステアにもオーバーステアにも見舞われることなく、ピタリと低く安定したオン・ザ・レールのまま、驚くほどの速さでコーナーを駆け抜けてくれます。

プラグイン・ハイブリッドカーはミドシップのスポーツカーもたくさんありますが、そのふたつを融合させているモデルはまだ貴重。そして新しいテイスト、新しい価値観を感じさせてくれる存在です。i8に乗ってみたら、病みつきになるかも知れませんよ。


嶋田智之の、この個体ここに注目!

2015年9月に登録されたディーラー車で、取材時の走行距離は9439km。2018年9月にディーラーにて車検整備済み。

この個体、なかなか高価なオプションを備えておりました。

外装ではBMW iライト・アロイ・ホイール20インチ“タービン・スタイリング”、フロント7.5J、リア8.5Jを履いていました。タイヤはブリヂストン・ポテンザS001、サイズはフロントが215/45R20、リアが245/40R20です。

インテリアは、BMW iのブルー・アクセント付きマルチファンクション・スポーツ・レザー・ステアリング、エクスクルーシブ・ナチュラル・レザー/クロス・アクセント・シート、アンソラジット・ルーフ/ライニング、BMW iブルー・シートベルトから成るパッケージ・オプション、BMW iインテリア・デザインHALO(ヘイロ)。それにリモコン・キーを身につけたまま各種操作が可能なコンフォート・アクセス。

これだけでも当時の設定で合計76万6000円のエクストラ・コストです。それ以外にも後付けで、新品のドライブレコーダー/レーダー探知機が備え付けられていました。

クルマのコンディションは、極上といえる部類。重箱の隅を突くようにしてチェックしたら飛び石の小傷を幾つか発見できましたが、それも全く目立たないといえるレベル。下周りも綺麗なものでした。フロント左側のホイールにガリ傷がありましたが、リペアすれば全く目立たなくなるレベルです。ちなみに整備記録もスペアキーも揃っています。

新車時の価格は1917万円と安価とはいえない金額ですから、ハイブリッド+ミドシップの新しい価値観をリーズナブルに楽しむには最適の1台となるのではないか? と思います。

車両スペック

年式2015
初年度20159
排気量1,499cc
走行距離9,435km
ミッション6AT
ハンドル
カラー
シャーシーNo
エンジンNo
車検20209
出品地域三重県
  • レポートは売り主さまへのヒアリングと現車の視認を元に構成されており、必ずしも掲載内容の裏付けが取れている訳ではありません。CARZYは掲載内容の正確性・無謬性を何ら保証しません。
  • 車両の状態を専門的にチェックしているわけではありませんので、何らかの不具合や故障が含まれる場合があります。また取材から日にちが経過することによる状態変化もあり得ます。掲載情報はあくまでも参考情報であることをご理解いただき、購入に際してはご自身の車両状態チェックとご判断を優先ください。
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