2017年のフランクフルト国際モータショーで発表された「911GT3ツーリングパッケージ」は世界最高峰と呼ばれるGT3の走行性能はそのままに、そびえ立つ大きなリアウイングを取り外し、アピアランスを控えめにした大人仕様のピュアな911です。このモデルを語るにはまず2016年に登場した「911R」に触れる必要があります。911RはGT3RSのコンポーネンツに、ナロー時代に登場したコンペティションモデルをオマージュした羽根なしボディを被せた限定車(991台)でした。派手さを抑えたスタイリングの下に秘めたる力を備え、6速MTで操るこのドライビングマシンは、当時のGT3にMTモデルが存在しなかったこともあり、世界中のスポーツカー愛好家が瞬時に虜となりました。ただ、残念ながら投機目的で購入した無粋な輩も多く、あまりに高価で転売(一時期は1億円超え)されていたため、ポルシェ本社が「911Rの転売対策」と公言し、市場に投入したモデルが911GT3ツーリングパッケージなのです。余談ですが、通常のGT3にも2017年のフェイスリフトと同時にMTモデルが復活しています。つまり、911Rの登場はポルシェファンにとってうれしい副産物をいくつも生んだのです。
搭載されるエンジンはGT3と同じ自然吸気の4リッター(3996㏄)水平対向6気筒。大排気量エンジンでありながらリッター当たり125㎰となる500psを絞り出し、9,000rpmまで許容するパフォーマンスはさすがレーシングカー直系ユニット。他の追従を許さない速さ、気持ちよさ、強靭さを兼ね備えています。車両重量はGT3よりも20㎏軽量な1470㎏。カタログスペックは、0→100㎞/hが3.9秒、最高速度は316㎞/hとなっています。
特徴的な大型のウイングは通常のカレラと同じ可動式小型リアスポイラーとなりますが、専用のガー二ーフラップを装着することで差別化。インテリアはアルカンターラのバケットシートから上質なレザー×ファブリックのスポーツシートとなり、ウィンドウモール/ヘッドライトウォッシャーカバー/テールパイプ/リアのポルシェロゴなどをスタンダードモデルと同じシルバー装飾(オプションのブラックエクステリアツーリングパッケージを選ぶと通常のGT3と同じブラックとなります)とするなど、軸足をレーシングからややストリートへ置いたことに合わせてソフィスケートなテイストが盛り込まれています。
常に周辺からの熱い視線を感じることなく、空冷時代の良さを残す自然吸気エンジンの911を3ペダルで思う存分に堪能できるGT3ツーリングパッケージは、純潔ポルシェパラノイアをも納得させるコレクタブルカーとして、今後も愛され続けること間違いなしです。
山崎真一の、この個体ここに注目! |
走行距離は驚くべきことに73km!まるで新車のようなコンディションではなく、ほぼ新車。現オーナーは数えるほどしか走らせておらず、エクステリアからインテリア、下回りに至るまで隈なく確認しましたが、傷みは皆無。インテリアからは新車特有の匂いがします。オークションであれば間違いなく最上級のS点評価です。ボディカラーはホワイト(OQ)で、車検は令和3年12月までたっぷり残っています。しかも、この個体はマーケットに数多く存在する並行輸入車ではなく、2019年モデルとして僅かな台数がポルシェジャパンの手で輸入されたディーラー車(車両価格は通常の911GT3と同じ2115万円)。これだけでも価値があるといえるでしょう。
「昔のポルシェの味を色濃く残している911GT3には以前から非常に興味があったのですが、派手なリアウイングが大げさで敬遠していました。もちろん、ツーリングパッケージの存在は知っていましたが、発表当初は正規輸入されていなかったため購入をためらっていたのです。ただ、昨年なじみのポルシェディーラーから[ツーリングパッケージの正規輸入車が手に入るかもしれません]と打診があり、迷わず注文を入れました」と現オーナー。
自然吸気ならでは切れ味鋭いエンジンフィールとMTで走る楽しさ、懐の深い足回り、扱いやすい操作性など非常に気に入っているそうですが、次期992型のGT3にも自然吸気エンジンが搭載される可能性が出てきたことで、「最新かつ最後になるであろう自然吸気モデルに乗ってみたい」という気持ちが高まり、「自分よりももっとこの車が好きな人がいらっしゃれば」という条件で、今回手放すことを決意されました。
ちなみにこのクルマには、41万1000円のフロントリフティングシステムを筆頭にスポーツクロノ/カーボンインテリア&サイドガーニッシュ/ブラックエクステリア/ガードペインティング付きブラックアルミホイール/ポルシェ・ダイナミック・ライトシステム(PDLS)、そして後方の視認性の悪い911に必須といえる純正バックカメラに至るまで200万円相当のオプションが装着されていました。
世界最高水準の走りのポテンシャルと官能性を持ちながら、街中ではリラックスして乗ることができる寛容さを併せ持つという、現代において理想のスポーツカーの1台。新車同様のこの個体はコレクターズアイテムとしても最適な1台ですが、ほぼ新車であるがゆえに、生涯の相棒としてポルシェの真髄を堪能&探求するのもあり、だと思います。
年式 | 2018年 |
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初年度 | |
排気量 | 3,996cc |
走行距離 | 73km |
ミッション | 6MT |
ハンドル | 左 |
カラー | ホワイト |
シャーシーNo | WPOZZZ99ZJS170365 |
エンジンNo | |
車検 | 2021年12月 |
出品地域 | 広島県 |
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