おそらく、 最良にして最後のRV8

英国を代表するスポーツカーといえば、MGBを挙げるマニアも多いことでしょう。MGAの後継として60年代項半に登場したMGBのロードスターモデルは、当時はもちろんのこと、現代に至ってもなお、手軽にドライブを楽しむことのできるオープンスポーツカーとして、またクラシックカーの入門モデルとして、人気を博しています。 そんなMGBをベースに、V8エンジンを積んだモデルが過去に二度、造られていました。一度目は73年デビューのMGB GT V8。そして二度目が今回紹介する、92年デビューのMGB R V8です。 80年代項半から90年代にかけて、MGブランドはローバー・グループの傘下にありました。当時のローバーにはスポーツカーブランドとしてのMGを復活させたい、という野心こそあったものの、MGらしいスポーツカーを新規で開発するまでの余裕はありませんでした。

そこで企画されたのがMGBのレストア用パーツや残された治具などを使ったMGBのモダナイズバージョン(現代ではとても流行っている手法ですが)の製作だったのです。

MGBの基本構造をもとに、一部パーツを流用しつつ、シャシーを強化、デザインをモダンに変更してローバー製の3.9リットルV8OHVエンジンを積んだモデルが、GT V8に次ぐ二度目のV8搭載MG、R V8というわけです。

ドアやトランクリッドが同じデザインであることからも分かる通り、MGBとさほど変わらないサイズ(わずかに大きくなっています)と、さほど変わらないシャシーに、190馬力のV8OHVエンジンを押し込んだわけですから、その乗り味は豪快のひとこと。とはいえデビュー当時でもすでに古色蒼然としたものでしたから、英国では価格の高さと相まって、さほど人気を得ることはできませんでした。

ところが。なんと日本のマニアは全く逆の反応をみせたのです。人気のMGBがパワフルになって戻ってきたという朗報に、多くのスポーツカーマニアが反応したのです。最終的には1983台に留まった総生産台数(限定2000台の生産予定でした)のうち、なんと1579台が日本へとやってきたというから驚くほかありません。

MGはその後、ミドシップのライトウェイトスポーツカーMGFを開発。日本でもワンメイクレースなどが開催され、往時の活況を取り戻すかにみえたものの、肝心のローバー・グループそのものが2000年にBMWグループから分離解体され、さらに2005年には破綻。モーリス・ガレーヂに端を発するライトウェイトスポーツカーの名門MGは現在、中国・上海汽車傘下でコンパクトカーやSUVを生産するブランドとなっています。

西川淳の、この個体ここに注目!

こんなに素晴らしいオリジナルコンディションのRV8を見るのは、当時、取材でよく借用した広報車以来かも知れません!

登録は96年となっていますが、VINからするに94年製造、ほぼ最終の個体でしょう。オドメーターはなんと1.56万キロ!いわゆるバーン・ファウンド物(納屋物件)です。多少の経年劣化もありますが、外装に目立つキズはありませんし、幌もスクリーンもとてもきれいな状態をキープ。

特にインテリアが素晴らしい。ドアを開ければ懐かしい香りが漂っています。ウッド割れも全くありません。

念のためフューエルラインをやり直すなど、この素晴らしい個体を思う存分に乗って楽しむならば+50万円くらいの予算を掛けて欲しい、とは、RV8を知り尽くした現オーナーさんの弁。

もはや見た目もクラシックな一台。かといって、古過ぎず新し過ぎず。今乗るにはちょうどよい存在かも知れませんね。

※オーナーからの補足(2021.12)
クラッチマスターシリンダーをOHとスレーブシリンダーを交換修理とボディ左Fフェンダー&ドアのデントリペア、トランクダンパー交換、fuel tank分解洗浄防錆コーティング、fuel pomp ストレーナ、フィルター交換、fuel line洗浄整備を今回しました。ザッと40万程の加修となっています。西川さんのインプレ>50万くらいの部分は全て完調となっています。

車両スペック

年式1993
初年度1996
排気量3,947cc
走行距離15,600km
ミッション5MT
ハンドル
カラーダークグリーン
シャーシーNo
エンジンNo
車検なし
出品地域静岡県
  • レポートは売り主さまへのヒアリングと現車の視認を元に構成されており、必ずしも掲載内容の裏付けが取れている訳ではありません。CARZYは掲載内容の正確性・無謬性を何ら保証しません。
  • 車両の状態を専門的にチェックしているわけではありませんので、何らかの不具合や故障が含まれる場合があります。また取材から日にちが経過することによる状態変化もあり得ます。掲載情報はあくまでも参考情報であることをご理解いただき、購入に際してはご自身の車両状態チェックとご判断を優先ください。
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