スポーツカーの名門、英国のロータス。1950年代はじめに天才エンジニアのコーリン・チャプマンによって創設されました。元々は売れ残った中古車をレーシングカーに改造することで評判を得たコーリンでしたが、ロータス社を設立してからは独自開発のスポーツカーを量産したのみならず、フォーミュラ1まで登り詰めてGPを制覇するなど、60年代にはもうヨーロッパ有数のスポーツカー&レーシングカー会社として名声を得るようになります。
そんなロータスが独自開発のスポーツカーとして初めて“量産”したのがロータス6でした。シンプルな造りで戦闘力の高いロータス初の市販スポーツカーは瞬く間に人気を博します。1957年、6の発展版として登場したのが7でした。
チューブラーフレームにアルミ外板パネルを張ったセミモノコックボディにフロントWウィッシュボーン+リアリジットのサスペンションを組み合わせた6同様にシンプルなオープン2シータースポーツで、キットカーとしても販売されました。フォード製を筆頭に様々なエンジンタイプを選ぶことができたロータス6でしたが、なかでも高性能なエンジンを積んだセブンがスーパー7と呼ばれたことで、そののち実に多くのリバイバルレプリカモデルが登場します。そして、これらユニークでシンプルなスタイルのスポーツカーは全て“スーパー7”という愛称で呼ばれるようになったのです。同じく英国のミニシリーズを高性能版の名を取って“ミニクーパー”と呼んだりするのとよく似ています。
ロータス7はシリーズ1からシリーズ4まで造られ、1973年に生産を終えます。その際、最後のシリーズ4モデルの権利を英国のロータスディーラー“ケイタラム”とニュージーランドのスティールブロに売却され、さらにシリーズ3以前のモデルを生産するバーキンが登場するなど、ロータス社が手を引いてからも7タイプのスポーツカーに対する需要は根強く残りました。シュペールマーティン、ウェストフィールド、ドンカーブートなど、数えきれないほど多種多様なレプリカが誕生したがその証拠です。日本のミツオカゼロ1も7にインスパイアされたモデルと言っていいでしょう。逆にいうと、コーリンの6や7のアイデアが実にシンプルで高いポテンシャルの乗って楽しいスポーツカーであったことを証明しています。
ロータス7のレプリカを特に“ニア・セブン”と呼んだりしますが、そのなかで正式社名にスーパーセブンともつのはジョージ・フィッシャーがカナダで設立した“スーパーセブン・スポーツカーズ・カンパニー”社だけでしょう。84年から85年にかけて左ハンドルの“カナディアン7”が数十台生産され、7(セブン)人気の高い日本へも輸入されました。
注目すべきはパワートレーンです。ジョージ・フィッシャーが選んだのはトヨタの2T-Gユニットで、しかもトムスがボアアップで2リットルとした170psの2T-GSエンジンを輸入して搭載していたのです。デフやミッションなどメカパーツの多くがトヨタカローラ系のパーツを流用していたことから、日本でのメンテナンスやチューニングも容易な“ニア7”として注目を浴びました。
西川淳の、この個体ここに注目! |
筆者も現物を初めて見る“カナディアン7”。現オーナーが一年ほど前に友人の兄から譲り受けた非常にレアな一台です。
レーシングカーのプロフェッショナルである現オーナーが面倒をみているだけあって全体の調子はよさそうです。ただし取材当日はバッテリーが弱っていたのと、ソレックスキャブの調子がイマイチでアイドリングが不安定となっていました。オーナーも“完調とはいえません”と仰っていましたが、リアデフからのオイル滲みも含めて購入決定後にメンテナンスの相談をすれば解決できる問題でしょう。
内外装のコンディションは“年式相応にやれている”というべきです。使用感がしっかりとあり、決してピカピカなコンクール・コンディションではありません。けれども履きっぱなしのデニムやスニーカーのように、身体とのフィット感を気軽に楽しむスポーツカーです。適度にやれていたほうが遠慮なく乗れて自分に馴染むのも早い。飾っておくスポーツカーではありません。がんがん乗って何なら雨でもおかまいなく楽しむ。使用感が物語になり、歴史になり、クルマと貴方の勲章になる。
“ニア7”と呼ばれるスポーツカーにはそんな乗り方こそふさわしいとボクは思います。
年式 | 1985年 |
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初年度 | 1986年4月 |
排気量 | 1,940cc |
走行距離 | 9,029km |
ミッション | 5MT |
ハンドル | 左 |
カラー | 濃緑 |
シャーシーNo | S3S8442010932T |
エンジンNo | |
車検 | 2020年10月 |
出品地域 | 東京都 |
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